mugimiの怠惰な毎日をだらだらとお送りします
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アクセプト
2011年02月23日 (水) | 編集 |
つい先日、薬師寺からお手紙を頂いた。
3月末に行われる、修二会(しゅにえ)のお知らせ。

そういえば、去年の3月に、
奈良に一人旅したときに、薬師寺に行って写経をしたのだった。
(その辺の話はコチラとかコチラを参照)


写経の最後には願い事を書く欄があったので、
強い気持ちで「学業成就」と書き込んだ。

薬師寺の前に行った興福寺の境内にある「一言観音」でも、
「論文が出ますように」
と一つだけ強くお願いしてきた。

さてさて。

ちゃんと書いたかどうか忘れたが、
私は去年の4月から研究生をしている。
ポスドクでもなく、パートでもなく、研究生。

授業料を払って、大学に籍を置いているが、別に授業などはない。
職員でもないから会議や雑用もない。
ひたすら研究に専念出来る立場である。
(お金を払っている立場なので、大学からすればお客様というわけ。)

目的としては、
以前やっていた研究成果をまとめること。


研究成果は「論文」というもので発表するわけだが、
パソコンで書いて自費出版したら出来上がり、というものではなく、
学術誌に投稿する。

学術誌に投稿すると複数の審査員のところにその論文が回り、
それぞれの審査員が「OK」と言って初めて学術誌に掲載される。

ちなみに審査員は誰かはわからないようになっているが、
審査できる知識を持っている人、つまり、
たいていは似たような研究をしている研究者に依頼が行くことが多い。
ということはライバル。

なので、審査員はものすごく読み込んで、
徹底的にあらさがしをする。
その結果、学術誌に載せられないレベル、と判断されれば却下。
(いわゆる「reject(リジェクト)」。)
載せてもいいけれども最初から最後まで書きなおし、と判断されれば
「大幅改訂を要する」(いわゆる「major revision」)。
そこまでの改訂は必要としないけれど、
細かい部分の訂正を要求される、いわゆる「minor revision」。
ごくごくまれに、そのままOKになる、いわゆる「accept(アクセプト)」。

最終的には「アクセプト」の返事が来るまで、
延々と審査員とやり取りをして、議論を戦わせることになる。
(リジェクトされた場合はもうその学術誌には載せない、ということなので、
別の学術誌に投稿することになる)

acceptとか、rejectとわざわざ英語で書くのは、
それもそのはず、学術誌というのは全て英語であるため。
(日本国内の学会誌の中には日本語の論文もないことはない)

つまり投稿した論文を審査するのは日本人とは限らない、
というより、日本人以外に回る確率の方が高い。
(人口的な比率を考えればそうなる)
必死の思いで研究成果を英語で書きあげても、
審査員からのあらさがしと山のような改訂要求が突きつけられたら、
ひたすら一つ一つ英語で議論してクリアしていかなくてはならない。

4月から研究生を始め、それまでのデータを見直して論文を書いて、
投稿したのが6月のこと。
2カ月で論文が書けるのかと思われそうだが、
実際はポスドク時代に書いていたものがベースになっているので、
一からというわけではない。

ちょうど1カ月後くらいだったかな。
7月に北海道旅行に行ったのだが、
午後に出発する予定にしていたので、午前中だけでも、
と研究室に来て、メールを立ち上げたら
「リジェクト」という返事が来ていて・・・。

落ち込む、という言葉では言い表せないくらい、
本当にがっかりして、
北海道に行っている間も思い出してはブルーになっていたのだった。


リジェクトといっても
「○○のデータが必要なのにこの論文ではそれがないからダメ」
とか
「この論文は××の実験をしているが、それだったら△△もやるべき」
など、
それなりに有用なコメントも返ってくる。
(中には無理難題な要求もあったが・・・)

北海道から戻ってきてから教授とディスカッションを重ねた。
選択肢としては
1. 学術誌にもいろいろなレベルがあるので、
少しレベルを下げて別の学術誌に投稿する
2. もう少し実験をして、データを加えてから再度投稿する
という2つがあったのだが、思い切って2の選択肢、
データを増やすことに決めた。

もっとも私の研究分野は、
電話一本で研究材料が届くようなものではなく、
実験材料となる植物を自分で育てるところから始めなくてはならない。
遺伝的な背景などを考えると、それだけで数年かかることだってある。

さすがにそれは無理・・・。

というわけで、教授が手を尽くして調べてくれて、
その材料を持っている別の大学の先生に頼みこみ、
植物を分けてもらうことでなんとか材料の問題は解決した。
(それでも実際はベストの材料というわけではなかったが・・・。)

夏の間はその材料を使った実験に明け暮れた。
これは、といういい結果が出たのは秋も近づいたころ。

さらに並行してやっていた別の実験でも面白い結果が出て、
これも合わせて一つの論文としてまとめよう、と、
秋の間はとにかく英語と格闘していた。

教授に論文を見てもらったのは11月も半ばのころ。

そこからまたさらにディスカッションを重ねて改訂し、
英文校閲にも出して英語のチェックもして、
投稿したのが12月の半ば。

投稿して、すぐに返事が来る場合は、
かなり高い確率で「リジェクト」である。
審査員に回る前に編集委員がざーっと読んで、
「これは審査に回すまでもない」と判断したらすぐに返事が出来るのである。

一方、えらく長く返事が来ない場合も、
かなり高い確率で「リジェクト」または「大幅改訂が必要」である。
というのも、編集委員が審査員に回してくれても、
審査員がざーっと読んで、「なんだこりゃ、よくわからんな」と思った場合、
「ま、後で考えよう」というすこぶる人間的な心理(?)が働くためである。

その昔はインターネットもメールもなかったので、
郵便で送ったら返事が来るまでやきもきしたものだが、
最近は返事が来ないと思ったらメール一本で
世界各国、どこでも問い合わせがすぐできる。

2月に入ってもなかなか返事が来ないため、
おずおずとニューヨークの編集委員に問い合わせのメールを出したところ、
ほとんど「直後」といってもいいくらい、すぐに返事が来た。

結果は・・・。

なんとなんと、「minor revision」。

何でも、3人の審査員に査読を依頼していたのに、
1人から返事が来ないため、しばらく待っていたらしい。
とはいえ2人の審査員はほとんど同じで
「そのまま掲載しても構わないレベル」
というコメントだったこともあり、
もう2人分の審査で充分、と判断したらしい。

とはいえ一発アクセプトではなく、
ものすごく細かい部分で訂正を要求されたので、
その部分だけちょこちょこと直して再度投稿。

そして数日後。
世間ではバレンタインデーである2月14日。
編集部から
「あなたの論文がアクセプトされましたことを、
ここに喜んでお知らせいたします」
という丁寧なメールが来たのだった(もちろん英語)。

あまりにも嬉しくて嬉しくて嬉しくて、
そのメールをプリントして思わず教授のところまで走って見せにいったくらい。



一流の研究者は、一年に何報も何報も論文を出しているから、
一つ出たくらいでこんなに大騒ぎすることはないだろう。

トップクラスの野球選手が、一本ヒットを打っても、
「数あるヒットのうちの一つ」
なのだろうけれど・・・。


でも、やっぱり、嬉しいなあ。

奈良にお礼を言いに行かなくては。

そういえば、奈良に行くことになったのは、
去年、大阪で開かれた「癒しスタジアム」に行ったのがきっかけ。
(その辺の話はコチラを参照)


ここで話をしなければ、奈良に行くこともなかったなあ・・・。

そういえば、この癒しスタジアムに行ったのは一年くらい前。

ええと。

2月14日だ。



・・・・偶然?
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